2024.04.19
アデノイド顔貌とはどんなもの?歯列矯正で治療できる?注意点も解説
「面長で鼻の下が伸びている」「出っ歯」などの悩みがある方は、アデノイド顔貌(がんぼう)かもしれません。大人になってからアデノイド顔貌を治療することはできるのか、気になるところですよね。アデノイド顔貌は、見た目だけでなく健康面にも悪影響を及ぼす可能性があります。
今回の記事では、アデノイド顔貌の特徴や歯列矯正で治療する方法などについて解説します。アデノイド顔貌で悩んでいる方は、ぜひご一読ください。
アデノイドとは
アデノイドとは喉の一番上(鼻の奥)にある扁桃(へんとう)のことで、咽頭扁桃とも呼ばれます。扁桃腺よりさらに上部にあり、口を開けても直接見ることができません。アデノイドの役割は、ウイルスや細菌が体内に入るのを防ぐことです。
アデノイドが肥大する(大きくなる)と空気の通り口が狭くなって鼻呼吸が難しくなるため、口呼吸になることが多いです。
幼児期は鼻から入るウイルスや細菌に反応してアデノイドが肥大化しやすいですが、成長に伴い免疫力が上がり、アデノイドは徐々に小さくなります。
しかし、稀に中学生や高校生になっても、アデノイドが小さくならないことがあります。アデノイドの肥大化や口呼吸の習慣化によって顔つきが変わり、アデノイド顔貌になってしまうことがあるのです。
アデノイド顔貌とは
それでは、アデノイド顔貌とはどんなものなのか詳しく見てみましょう。
アデノイド顔貌の特徴
アデノイド顔貌の特徴は、以下の通りです。自分に当てはまるものがあるか、セルフチェックしてみてください。当てはまるものが多い方や気になる方は、矯正歯科や耳鼻咽喉科で一度診察してもらいましょう。
主な特徴
- 面長
- 鼻の下が伸びている
- 鼻が小さい、鼻の穴も狭い
- 上下の顎の幅が狭い
- 下顎が引っ込んでいる
- 出っ歯
- 顔と首の境がはっきりしない、二重顎
- 口が半開きになっている
- 口の中や唇が乾燥している
- 下の唇が分厚い
- 歯列が乱れている
その他
- 鼻呼吸しにくい
- 鼻づまり
- 中耳炎・副鼻腔炎になりやすい
- いびき・睡眠時無呼吸症候群
- 口臭
- 虫歯や歯周病が悪化しやすい
- 滑舌が悪い
- 姿勢が悪い
口ゴボとの違い
「アデノイド顔貌と口ゴボは何が違うの?」と疑問に感じている方もいるかもしれません。口ゴボは上下顎前突や上顎前突とも呼ばれており、「口がゴボッと前に出ている状態」を意味します。
唇が突出しているのはアデノイド顔貌と共通していますが、アデノイド顔貌は下顎が後退している一方で、口ゴボは下顎が正常な位置にある点が異なります。
アデノイド顔貌になる原因
アデノイド顔貌の主な原因は、口呼吸です。口呼吸が癖になると、アデノイドが縮小しても口呼吸のま まになり、アデノイド顔貌になりやすいのです。そのほか、指しゃぶり・飲み込むときに舌を出す癖な ども、アデノイド顔貌になる原因の一つといえるでしょう。
アデノイド顔貌は歯列矯正で治せる?
子どもは成長過程にあるので、アデノイド肥大や鼻炎、間違った舌の癖などを治すことでアデノイド顔貌になるのを防げますが、大人は骨格や歯並びが完成しているため、自力でアデノイド顔貌を治すことはできません。
歯列矯正でアデノイド肥大そのものの治療をすることは不可能ですが、アデノイド顔貌や歯並びを治療することは可能です。
特に、アデノイド顔貌は、前歯だけでなく奥歯にも問題があることが多いので、歯列矯正で歯並びや噛み合わせを改善する必要があります。歯列矯正をすることで見た目を改善できるのはもちろんのこと、鼻呼吸が容易になります。一般的に、全体矯正が適用され、治療期間は2~3年くらいです。
ただし、アレルギー性鼻炎や鼻咽頭疾患により、口腔周囲筋のバランスが崩れている場合、耳鼻咽喉科での対処も必要になります。
アデノイド顔貌を歯列矯正で治療する方法
アデノイド顔貌を治療するには、口呼吸から鼻呼吸に移行する必要があるために、口周りや舌の筋肉を 鍛えたり、鼻づまりの治療を行ったりすることが多いです。
下あごの後退具合が軽度で、歯列不正(出っ歯・開咬など)があるアデノイド顔貌ならば、歯列矯正で 改善できる可能性があります。前から4本めの歯を抜歯して、歯を収めるスペースを作ることもありま すが、抜歯が必要かどうかは、患者様の症状によって異なります。
大人のアデノイド顔貌を治療するときは、インビザライン等のマウスピース矯正またはワイヤー矯正で 治療するのが一般的です。インビザラインならば、目立つ器具を長期間装着することがないので、周り の人に気付かれずに治療可能です。
もし、歯列矯正だけでは改善できないときは、アデノイドを切除したり顎の骨を切除したりする外科 手術が必要になります。矯正治療のみよりも効果を期待できますが、治療期間が長くなる上に治療費も高くなりやすくなるでしょう。さらに、術後のダウンタイムがあることも理解しておく必要があります。
アデノイド顔貌を歯列矯正で治療する際の注意点
アデノイド顔貌を歯列矯正で治療したいと考えている方は、以下の4点を頭に入れておくことが重要です。
クリニック選びは慎重に
歯列矯正の治療をする際は、安さで選ばず、専門性と実績豊富な矯正歯科医を選びましょう。特に、アデノイド顔貌を治療する場合、診断に必要な骨格分析や治療が比較的難しいため、矯正歯科専門のクリニックを選ぶとよいです。
また、検査やシミュレーションを行えるだけの十分な技術と設備が整っていることも重要です。矯正治療は、患者様によってはリスクや副作用がある可能性もあるので、クリニック選びは慎重に行ってください。
矯正治療後は鼻呼吸を意識する
大人の場合、口呼吸によって顔が大きく変わることはありませんが、歯列を支えている筋肉のバランスが崩れて、歯並びや噛み合わせが再度悪化することがあります。口呼吸する癖がある方は、矯正治療後も鼻呼吸を心がけて、後戻りを防ぐことが重要です。
鼻呼吸を習慣にする効果的な方法といえば、ガムを噛むことです。ガムを噛むと自然と口が閉じるので、鼻呼吸になるだけでなく、口の筋肉も鍛えられるでしょう。就寝時に、専用のテープを口に貼る方法もありますが、鼻に疾患がある方にはおすすめできません。
顔貌の改善が難しいこともある
アデノイド顔貌は、矯正治療だけで必ず改善できるわけではありません。下顎の後退が大きいなどアデノイド顔貌が深刻な場合、外科手術が必要になります。治療を受ける前に、顔貌、歯並びや噛み合わせがどの程度変わるのかを確認しておくとよいでしょう。
健康保険は適用されない
矯正治療は、ワイヤーによる治療でもインビザラインによる治療でも、健康保険の適用外です。顎変形症(がく へんけいしょう)と診断されオトガイ形成術などの手術を行うことになれば、健康保険が適用されますが、念のために資金を準備しておくと安心です。
まとめ
アデノイドが肥大化して口呼吸が癖になってしまうと、アデノイド顔貌になりやすいだけでなく歯並びや噛み合わせにも悪影響を及ぼします。アデノイド顔貌が気になる方は、歯列矯正をぜひ検討してみてください。
当院の矯正治療では、歯並びや見た目を治すだけでなく、噛み合わせも改善します。患者様の不安を払拭できるよう、しっかりとお話を伺い、丁寧に説明することを心がけています。アデノイド顔貌でお悩みの方は、ぜひ安岡デンタルオフィスにご相談ください。アデノイド顔貌とはどんなもの?歯列矯正で治療できる?注意点も解説